第76章 冒険者依頼(クエスト)、来訪
ケイト「っ」ぶわっ
ひっく
ぼろぼろ
それに…感極まったみたいで、また泣き出した…
うん…こんな時間も必要かな。整理するには…
気持ちに整理がうまくつけられないんだろう…
お母さんにお姉ちゃん、ヴェルフィンお父さんにオリヴァお母さんにシルキー…
守れなかったものばかり…で、更にあれだ……
人の気も知らず…一般市民を殺した
で、追い打ちになったと←嘆息
いたたまれない気持ちになることさえも無いようだし
無駄かなあ、存在自体が
そんな辛辣な想いが、収まりも付かないまま溢れ出していた
そりゃあね…
ウィーネを攻撃した冒険者もいた
うん、それは多少なら攻撃してもいい。
だが…『他を巻き込まないようにすべき』だった。
『市民を背に、守る為に攻撃した冒険者』もいた。
それさえも無差別攻撃し、傷付けて回り、街を滅茶苦茶に壊して回り、殺してでも理想を貫いた。
結果、『市民』が死んだ。
それらを行った張本人たる癌は、家に引きこもった。
その後悔は…ファミリアに迷惑を掛けたことだけ…
癌は、謝罪も弁償も直すことも治す手伝いも後始末も何もせず、全て自費でしろと被害者皆へ押し付けた。
原作でも、こちらでも…
原作ではイケロス・ファミリア、こちらではウィーネを暴走させたファミリア。
それに、癌がやった「街の破壊、無差別傷害、一般市民への過失致死」等の罪も全部着せ、処罰も着せ、弁償も責任もその全てを取らせ、オラリオを追放させた。
更には…癌は心も痛めず、何の前科も付かず、のうのうと街に居座った……
目撃者が大多数を占める中で、ギルドのトップが強制的に真実を捻じ曲げさせた。
いつ、また、癌が「理想を貫く」という建前で再び攻撃してくるかもわからない現状で、危機感を持たない人はいない…
殺された一般市民も、
遺された遺族も、冒険者達も…
一方的に振り回されるままの街も…
癌は、仲間から「悪くない」と言われるがまま「出来ることをやった」、で済ませた…
「『偶然そこにいただけで攻撃された被害者』達に対してまで、何もしないという行為を選んだこと」に、怒りを示さずにはいられなかった……
そんなつもりはなかったと、自分の気持ちを押し付けるばかりで、
他の気持ちは、一切合切、背負いも、見ようとも、向き合おうともしない、考えもしないのだから…
