第76章 冒険者依頼(クエスト)、来訪
半分ほどに割れた時点で、やっと目が慣れてきて…見やると……
とても幻想的な光景が眼前に拡がっていた…
始祖神の涙がある建物、それ以外は常に薄暗かった。
そのはずだった…
だが…辺りは、外の時刻に合わせてか…綺麗な光が、僕達を照らしていた。
深海の精霊界全体が光り、
神域を、更に高めているようにも見えた。
国王「これは…!!
(想像以上だ!」ごくり
驚愕を隠せず、周りの変化に戸惑いを隠せなかった。
大臣や、重鎮達、集っていた精霊や海底人も皆、ざわざわと動揺を露わにしていた。
その中で…ケイトは一人、目前の変化に集中し切っていた…
今にも産まれようと、必死に頑張る卵の中の生物を…
孵化を、最後まで見守ろうとしていた。
今か、今か、と…
「くぁああああああああ!」
突如、鳴き声と共に…
純白の鳥が、ケイトの前に現れた。
「くぅうううう」
そう鳴き、ケイトの行き場のない左手の上に乗り、嘴を、ケイトの唇に寄せる。
パチパチ、と瞬きをしながら、まるで子供のように微笑み、
目を閉じ、ケイトの左頬へ、頭の左側を擦り寄らせた。
親愛の証…いや……これは、恐らく。
国王「神だ…!!
神が降臨成されたぞおおおおおお!!!!」
『おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』
そんな爆音など、意に介することも無く…
ケイトは真っ直ぐ、鳥を見ていた。
信頼してか、身を寄せて安心するかのような表情を浮かべる鳥に対し…ようやく、動きを見せた。
さも、嬉しそうに微笑み…笑い掛けたのだ。
ケイト「なあ…」
「く?」ぱちくり首傾げ
ケイト「お前の名前…クゥーってのは、どうだ?」微笑
「クゥー!^^♪」
上機嫌そうに頷き、辺りを嬉しそうに飛び回り出した。
建物内から、精霊界内に至るまで、
その全てを、僅か、たった一瞬で…
ケイト「私はケイト…よろしくな^^」
クゥ―「く!^^」すりすり
頷き、間も置かずに、再び頬ずりをし出した。
フィン「…………‥
済まない…
恐らくだが、鳴き声から(安直な名前を;」
国王「よい!
よいのだ――!!(ふるふる)
長年の悲願が…やっと!!!やっと!!!!!」
歓喜に打ち震え、滂沱の涙を流し、抱き合う深海人達一同に…
ツッコむものは一人としていなかった…;