第70章 新天地
フィン「…仕返し、か…^^;」
ケイト「愛してる」チュッ
わかっている…
それでも止められない。
その感性が、当時の痛みを掻き立てる…
懺悔室…
2人きりの神殿内の異空間部屋で、大事に、大事に…互いを抱き締めた。
共通の正義、共通の価値観は、傷を最小限に。
されて嬉しい等と言う人はいない。
当時の心境も想って、誰からも理解されない、守られない孤独、されたくない心情に共感して…痛いと感じてしまうのだろう。
ただでさえ几帳面で、完璧主義。
そんな所に、軽く言われたぐらい、なのだが…それだけで容易く壊れてしまう。
日常的にされ続けてきたことで、疲労骨折のように脆くなってしまっている…
例の人物への怒りもまた…
それによる被害者、その家族、友人、数多の人々に繋がっており、波紋が拡がること。
数多の哀しみ、痛み、嘆き、様々な負の念を、慮り、共感してこそだ…
無辜の民達を傷付け、私物を壊し、そのことへの後悔があったとして…
自分のやりたいこと、告白等への後悔が、それを上回ってしまってはならない。
その時点で、何の罪もない人々を哀しませ、痛みを味合わせることへ直結する。
ものを直したり弁償するのは壊した人ではなく壊された人、
殺された人を弔うのは殺した人ではなく殺された人の家族、
傷付けられた人を慰めるのは傷付けた人ではなくまた別の傷付けられた人。
それをしたとして、そのことへの後悔が上回らず、幾度となく繰り返され続ける。
未然に防ごうと、目下の己がやりたいことへの後悔ではなく、殺したり壊したことへの後悔が上回る事態が一つとしてない…
そんな人に、「強大な力」を持たせてしまえば、どうなる――?
予防も何もなく、ただ徒に周囲に与えられる「被害が甚大になるだけ」。
だから神国に入れなかった。
と言うより、入れられないのだ。
ルパンが入れたのは、『(己が取った言動による被害に対し)それ相応の責任と分別は持っていること』に起因していると神石から言われた。
一番大事なのは…何なのだろうか……
正直者が馬鹿を見る。
そんな世界で、虐待や理不尽に常に晒されながらも正直に生きる姿を…
懸命に、人に、同じ痛みや苦しみや哀しみを与えまいと、自らを諫め殺してまで努力する姿を…
何故「悪」として…人は、笑うのだろうか……