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Unlimited【ダンまち】

第66章 穢れ





ケイトの前世…


幼名は竹若丸。
三男坊で、長男と次男は病気で死んだらしい。子は私一人だけだった。

「竹のようにすくすくと、どこまでものびのびと伸びて行くことを願って付けた」と母上が微笑みながら語った。

5歳から激しい修業が始まる。戦国の世を生き抜く為というのもあり、非常に厳しく、鬼のようだった。
私では甘えられんだろうと、父上は母上に私の手当てをさせていた。私への配慮だろう。



修業後の休憩となり、縁側から庭に降りて伸びをしていた。

その折、虫に刺され、咄嗟に払った際に潰してしまった。
それを払って放った際、それに父上は叫んだ。

「土に埋めなさい」と。


そして…共に膝に地を付け、合掌し、冥福を祈るよう促され、父上を見習い、同じく祈った。



父上「よいか?竹若。
命とは、限りあるものだ。奪えるからと言って、いたずらに奪ってはいけない。

お前もいずれ、喪う痛みを知るだろう。憎しみを覚えるだろう。
だが、それに飲まれてはいけない。

何ものをも、敵ならば殺していいという理屈に飲まれてはならぬ。

喪いたくないのならば、戦うしかない。その為に戦に出るのだ。


竹若…←双眸を真っ直ぐ見つめる

人として最低な真似だけはするな。
殺す相手は選べ」

その言葉に、態度に、命に敬意をもって接しろと教わった。


「はい!父上!
私は、立派な武士になってみせます!!」

父上「その意気やよし!(頷)

修業に戻るぞ!」
「はい!」

父上「戦国の世なれども、命を軽視してはならぬ。己も、人もだ…
各々違えど、それにはまたそれの人生がある。

それを努々忘れるな」
「はい!!」

武家の生まれなのだから、武士になるのは当然のこと。

しかし、侍道というのはそうではない。必ずしも同一とは限らない。
武士の中にも腐ったものからいいものまで、ピンからキリまでいる。

復讐した後に殺しの味に酔いしれる者、弱者を甚振ることに優越感や快感を覚える者、他者を使い捨て囮にし自らのみで首を独占又は横取り楽して上に立とうとする者、それらが率先して首を取り手柄を挙げて上り詰めていくという…
首を取らねば上には行けないという、取った首の数こそが上の立場の証という、絶望的な仕組みも……世の中の醜悪さも、穢れも………


それらを身をもって知るのは…成人した後、戦場でだった。


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