第21章 富山城、再び
直美の意識が戻った夜、富山城の広間には信長、謙信、佐助の三人が集まっていた。
『佐助、お前とあの女の事だが』
謙信が言葉を選びながら話し始める。
『はい。隠すつもりはありません。俺たちは約500年先の未来から飛ばされて来ました』
信長が佐助に疑問をぶつける。
『直美の話ではワームホールとやらが出現すれば、また元の時代に戻れるそうだが本当か?』
『はい。理論上ではそうなります』
『佐助、お前はその機会が訪れたら元の時代に戻るつもりでいるのか?』
今度は謙信が佐助に質問した。
『いえ、謙信様。俺はこれから先もずっと謙信様を近くで支えたいと思っています。ただ…』
『なんだ、早く言わぬのなら斬るぞ』
『…もし直美さんが未来に戻りたいと言うなら俺が送り届けます。そして何ヵ月かかろうとまた謙信様の元に帰ってきます』
佐助の表情はいつも通りだが、強くてまっすぐな瞳から真剣な言葉であることが伺えた。