第1章 前編
時の支配者 ユーリ。
彼女もまたワンピースに憧れて、海に出た海賊の1人だった。
家族がいない彼女は十代で、生まれ育った故郷を離れ大海原へと旅立った。
旅立った当初は一人だったが、数年経てばだいぶ賑やかになった。
女であるユーリが、この時代を船長として渡り歩けたのは、悪魔の実の力と出会った仲間達のおかげである。
また彼女は海賊として名を馳せていたが、特に悪事を働くことはしなかった。
彼女の能力は強力なものばかりだが、それらは全て、困っている人のために使われていた。
悪事を働いている海賊を見つけては退治する。
それを繰り返しているうちに、彼女の首にかけられる懸賞金の額もじわじわと上がっていた。
行っていることは善行だろうが所詮は海賊。
彼女の能力の危険さは、すぐさま海軍へ知れ渡った。
そして懸賞金が1億になった頃だろうか、それが一気に跳ね上がる事件が起きた。
偶然立ち寄ったある王国。
その国を支配している、王家七武海の1人である国王を倒してしまった。
彼女はその国の闇の部分を知ってしまった。
助けを求めている国民の声を聞いて、黙って見過ごすわけにはいかなかった。
王下七武海は政府公認の海賊だ。
そんなのに手を出せばどうなるか、考えなくても分かっていた。
だから、感謝の言葉を述べる国民への対応もろくにしないまま、彼女の船はすぐさまその島から立ち去った。