第5章 終局
※R12
もう一度キスをしたいと恋人を見ると、クラウスさんはご自身の処理を済ませ、『箱』から『次』を出したところだった。
……は?
クラウスさんは私の視線を受け咳払い。
「ん……その、これはその、君に疲労感を与えるのが目的でもあるし」
待て。いやホント待て。
ずりずりと布団の上を移動しようとするが、ケダモノに両脇に手をつかれる。
「カイナ。君のけなげさは私を誘惑してやまない。一度で終わるなど耐えがたい」
「いえ、ちょっと落ち着きましょう。ちょっと」
まあまあとケダモノをなだめようとしたが……視線を転じると……何かもう、半分アレになってるモノが見えた。
「愛している……君に応じてもらえるように努力は惜しまないから……」
でもギュッと抱きしめられ、舌を舐られ、身体を撫でられると、こちらもじわっと潤むものがあった。
「ん……じゃ、あと一回だけ……」
目をそらし、ちょっと頬を膨らませて言った。
「ありがとう……君を、心から愛おしく思う」
そして、獣が本性をあらわにする。
私はまた好き放題に蹂躙されたのであった。
それと一回で終わらなかったのは言うまでもない……。
…………
…………
目を開けると、夜明けの光が窓から差し込んでいた。
私はクラウスさんの胸に頭を乗っけるようにして、寝かされていた。
頬を撫でる手。
「おはよう、カイナ。ぐっすり寝ていた」
「ども……おはようございます」
罵倒したものかと思ったけど、熟睡してホントに夢を全く見なかったしなあ。
なのでクラウスさんにもたれ、甘えるように身体に口づけた。
そんな私の背を撫でながら、
「カイナ。こんなときにすまない。スティーブンから内密に知らせが入っていたことを伝えねばならない」
「は?」
「昨日、牙狩り本部の精鋭数名が、ニューアーク国際空港にて降機したとのことだ。
目的は間違いなく君の封印だろう。不安だろうが私が必ず――カイナ?」
私は起き上がり、わなわなと手を震わせていた。
「……昨日? ということは、その情報を昨日の時点でご存じだったんですか!?」
「そうだ。だが君には私が――」
「そんなときに呑気にセッ○スしてる場合ですかーっ!!」
私の絶叫がアパート中に響いたのであった……。