第4章 異変
…………。
許すんじゃなかった……。
朝日がまぶしい。
「カイナ、すまない! 何か食べられるかね? 作ってほしいものは!」
ベッドでぐったりする私に、クラウスさんはあわあわしてる。
「ふ……ふわとろ、パンケーキを……!!」
「了解した! 待っていたまえ!」
クラウスさんがバタバタと寝室から出て行く。
え?作れんの?と思ったけど、まあいいか。
というか元気だなあ、クラウスさん。
結局、ギリギリまで粘られた。
クラウスさんの睡眠時間って正味一時間も無いんじゃなかろうか。
しかしご本人は非常にスッキリしたお顔。
私はぐったりである。限界まで体力を削られ、まどろむしかなかった。
…………
「美味しいかね?」
「最高っす!」
クラウスさんが作ったスフレっぽいものを、一心に食べた。
「いっだ!」
「大丈夫かね?」
「あ、はい。口の中、かんじゃって」
あかん。美味すぎてアホな失敗した。ちょっと血が出て痛い。
でもスフレは絶品。生クリームとミントがオシャレである。
紅茶はアッサムのストレート。幸せ。
クラウスさんはご自分用のトーストを食べつつ、ニコニコと(怖い)私を見ていた。
けど食べ終えて食器を片付けると、いつもの巨大ベストを身につける。
「あ、私も」
起き上がろうとした。
データ入力作業だけでもいいから、何か役に立ちたい!
でもクラウスさんはきちっとネクタイを締めながら、
「寝ていたまえ。昨日の件で君も疲労している」
いや、今の私の疲労の直接の原因はあなたですが!!
「行くったら行きますよ! こんなことで休むなんて――」
起き上がろうとしてガクッと腰が砕けた。
普段から運動不足なのに、激しい全身運動をさせられたからね!
それでも何とか起きようとしていると、ふわっとキスされた。
「休みたまえ」
「……はい」
クラウスさんはもう一度ハグしてくれた。
「では、いってくる。何か異常があれば、すぐ私かギルベルトに連絡を」
「いってらっしゃい、クラウスさん」
手を振ってお見送り。
ドアがバタンと閉まると、はあ~、とため息。
情けないったら、ありゃしない。
「いや、でも今日という今日は、クラウスさんが原因ですよね」
シーツにつかまって目を閉じた。
…………
そして凄まじい悪夢を見た。