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夢の詰め合わせ

第1章 先生と姉


バタバタバタッ!バァン!!!

「姉貴!起きろぉ!!」

ガバリと布団を剥がされて身体を丸めた。

「起きろ!遅刻すんぞ!」

乱暴に揺すり耳元で声を張り上げられて私はようやく脳が活動を始めた。

「んん~…はよ」
「はよ、じゃねーよ!目覚まし止めて二度寝すんなよ!」
「あぃ。起きる…起きます」
「飯冷めちまうぞ?」
「たべる!」

開いたドアから微かに珈琲の臭いがして急に覚醒した。

着替えもせずリビングへ行き定位置に腰を下ろして両手を合わせる。
銀八も向かいに座り手を合わせる。

「いただきますっ」
「いただきまーす!」

銀八が朝食を作るときはいつも和食だ。
焼き鮭、卵焼き、めかぶとオクラを入れた納豆、味噌汁。
時間がないから急ぎつつ頬張る。

「昨日は遅かったのか?」
「ん。決算前でもぉバッタバタよ。銀八は?テスト作り終わったの?」
「んあぁ。大体な。今日は職員会議だから遅くなる」
「わかった。私も遅いから夕飯はテキトーね」

パクパクとほぼ同時に食べ終えて銀八のお皿も一緒に片付ける。作ってくれたコーヒーをマグボトルに入れて手早く着替えて20分で身支度を済ませた。

「相変わらずはえーな!」
「慣れよ、慣れ」

銀八はネクタイを絞めてジャケットを羽織る。
私はバックを取り、時計をつける。

「忘れもんねぇか?」
「ん。ヘーキ!あ、銀八ハンカチ!」
「おぉサンキュ!」

玄関を潜り銀八がガチャリと鍵を回す。
マンションのエレベーターでエントランスまで行き駅までの道のりを歩く。
バス停が見えたところで私は足を止めた。

「じゃ、いってらっしゃい!」
「ん。いってきます」

バスが来るまで私は銀八の背中を見つめていた。
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