第3章 銀八と不倫(R18)
『銀さん、来ました』
『そう?じゃあ今夜いつものところで待ってる』
私はすぐにそのメールを削除する。
LINEなんて便利なものがあるご時世で、私と息子の担任である坂田銀八はメールでやり取りをしていた。それは直ぐに証拠隠滅が出来るため。LINEのパスワードはあえて夫に伝えている。見られても記録に残っているのは友人やママ友や仕事くらいだから、やましいことなんてない。
「パパーちょっと出掛けてくるねー」
「おう、気を付けてなー」
「はーい!あ、あと生理来ちゃったから私、お風呂は最後に入るね」
気の抜けた返事を背中で聞いて玄関を閉め、車に乗り込んだ。
隣の市まで走らせてると、24時間営業のスーパーに停めて辺りを見渡す。
いつもの車があった。
私は助手席に置いておいたバッグを持って降りて、まっすぐ白い車へと向かった。
コンコンコン。
助手席の窓を叩くと腕を伸ばして開けてくれた。僅かに開いた隙間に身体をサッと滑り込ませると直ぐに発進する。
「銀さんお疲れさま」
「ん。おつかれ。わりーな急で」
「うんん。早い方が私も嬉しいし」
「月に一回だもんな。もっと会いてぇのに…」
「うそつき。奥さんともしてるクセに」
「それでもいいって、 が言ったんだろ?」
意地悪そうな顔の銀さんと眼が合うと私は口を尖らせた。