第8章 決意
「殺したのは恐らく宅配業者の二人組だ。このコンテナで死亡推定時刻を遅らせてその間にアリバイを作っておけば、犯行時刻に二人は仕事をしてたって事になる…」
大事な証人…何処か犯罪臭いと感じていたが、アリバイ証人の事だったかと一人納得する。
甘えを自覚し守る決意を固めた為か、遺体を見た後だというのに不思議と恐怖は薄かった。
「つまり、私達が見つかれば…」
「6人とも殺されちまうだろーぜ…この中に閉じ込められてな!」
「そ、そんな…」
「何とかならないんですか?!」
「扉が開いた時にバーッと外に出るとかよ」
「無理よ…普通の状態ならともかく…」
『皆悴んでるからきっと犯人から逃げ切れないよ…』
「心配すんなよ、まだ方法はある。あの2人を俺達が宅配してやろうじゃねぇか…監獄にな」
不敵に、そして強気に探偵の顔をするコナンに全員で大きく頷いたが、電話で事情を説明すると聞かされた探偵団は分かりやすく不満を浮かべた。
「この冷蔵車のナンバーは記憶してるし、俺が間違えたとしても此方には葵がいるからな!」
「確かに葵ちゃんの記憶に間違いはないでしょうね」
「ってことでナンバー見てたら教えてくれ!」
『新宿193、いの1491だよ!』
「すっげー!」
「助かった!」
一転して爛々と瞳を輝かせる探偵団に苦笑して葵も携帯を出そうとポケットを探るが何も当たらない。首を傾げて思い返した記憶にさあっと青褪めた。
(携帯…博士の家だ…)
キッチンにいた博士を手伝おうと手に持っていた携帯をテーブルに置いてそのまま来てしまったのだ。
失態に頭を抱えたくなるのを必死で抑え、代わりに重く息を吐き出した。
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