第2章 発見と発覚
基本、夏は夜が涼しくなるのだが都会では湿度と気温ともに高い。帰宅ラッシュなんれ帰れたもんじゃない。
そして、この女、月山下科も日本の夏には毎年恨みを覚える。
「暑い…。」
下科は都会の夜空を眺めながら言う。空にはほとんど星がなく、寂しい夜を創っていた。まあ、ここ東京から見える星はせいぜい二等星ぐらいだろうが…。
下科は詰め襟の軍服の胸の部分を鬱陶しげに外す。そして、髪留めのゴムを取り出すと、チャームポイントである長く、薄い色の髪を後ろに一つにまとめる。
これでいくらかは涼しくなった。
今、座っている公園のベンチに深くもたれ掛かりため息をつく。
するとベンチの目の前のちょっとした広場に警察の車、パトカーが停車し、中から40代ほどだろうか男の刑事が一人こちらに向かって歩いて来た。
その男の顔お見れば見るほど、老けた顔に見える。