第1章 前編 時の彼女と死の外科医
ユーリは刀で空を切り裂いた。
その瞬間時空が歪み、重力が歪み、トレーボルを地面に叩きつけた。
それでも能力を飛ばしてきたので、時を止めてやった。
「…止めたといっても心臓の方だけどね」
触れなくても能力が発動できるということは、こういうこともできるのだ。
今回初めて使ったので上手くいくかは、半信半疑だったが。
ユーリはトレーボルに近づこうとしたが、ドフラミンゴの攻撃が飛んできたので離れた。
そしてふと感じた身体の脱力感。
ローが能力を使ったのだろう。
ユーリは痛みを一切顔に出さず、笑顔でローに答えた。
ROOMの範囲は、恐らくギリギリ端の部分は残してくれてるはずだ。
そう約束はしてないが、そんな気がした。
視界の端で死んではないが心臓が止まったショックで、気を失ってるトレーボルが写る。
少なくとも2対1じゃなくなったから、ちょっとは有利になるだろう。
ユーリは端を目指して走った。
「忌々しい力だ」
ドフラミンゴは舌打ちをして、攻撃の標的をユーリへ変えた。
ROOMの中では無防備になることを知っていたので、さきにユーリをどうにかすることにしたのだ。
しかしそれをローが許すはずもなく、激しい攻防戦が続いた。
ローは決してROOMを解除しようとしなかった。
まるでユーリは手出しをするなと、言ってるかのように。
ユーリは傷だらけになるローを静かに見守っていた。
恐らくこの先、原作とは違い大きく流れが変わるだろう。
「フッフッフ、そんなにあの女が大事か?」
ドフラミンゴは口元を歪めて笑った。
その笑いには嫌な感じがした。