第1章 前編 時の彼女と死の外科医
「いやいやいや!おかしい!」
「な!おまえもそう思うだろ!?」
ユーリとシーザーの声が辺りに響き渡った。
「どう考えてもバランスがおかしいと何度も言ったのに、こいつときたら全然人の話を聞きやしねぇ!」
「そうそう、パワーバランスおかしいよ!てか私は買い出しに行きたいんだ!」
シーザーは少なくとも危険が伴う取引に、同行者が女1人なのはどうも不安で仕方なかった。
ユーリの実力が知らないせいもあるが、知っていたとしても女1人はどうかと思うのだ。
「……うるせェ、文句あるなら足をバラしてでも連れて行くぞ」
ローは正直ユーリを連れていくか迷っていたが、知らないところで危険な目に合うくらいなら、目の届く範囲で危険な目にあったほうがマシだという謎理論に到達した。
買い物に行きたいと言っていたが、そんなこと知ったことではない。
実際は考えてるうちに面倒になってそう結論つけたのだが、ユーリの実力は認めてるところもあったし来てもらったほうが何かと助かると思っていたのだ。
まさにローのその考えは正しいのだが、買い物を断念されたユーリの機嫌は急降下していった。
しかしまだバラされたくなかったので、シーザーと一緒に大人しく落ち込んでいた。
「ごめんなさいね、私も最初はついていくと提案したんだけど、彼、まったく引かなかったの。ルフィ達もいなくなってしまったし、彼のことお願いね」
仕舞にはロビンにこそっとそんなことを言われ、最早嫌だとは言えなかった。
こうして原作とは違う流れで、長いドレスローザ編が始まったのだ。