第3章 後編 愛する彼女と死の外科医
意外にも昨日の記憶があったユーリにローはどうしたものかと考えを巡らせていた。
覚えているならそれはそれで都合が良いが、中々話が進む気配がない。
まぁ忘れているようなら思い出させるまでだったが。
「はぁー……おまえ、向こうの世界で誰かと付き合ってたのか?」
暫くユーリの話を聞いていたローだが、絶対こいつ分かってないと気づいたので自ら話し出した。
その言葉に案の定キョトンとするユーリ。
ローはそのオレンジ色の瞳を見て静かにユーリの言葉を待った。
見るといってもほぼ睨みつけてるようなものだが。
「あ……あぁー……付き合った内に入らないよ多分」
そして漸く理解したのかユーリは話し始めた。話すと言っても微妙に曖昧だったので、ローは話の続きを促した。
「いや告白されて1か月くらい付き合ってたけど、何かこれじゃない感が半端ないって振られた。そんな事が数件ありまして…」
ユーリはローから視線を逸らすと、気まずそうに話していた。
その1か月で何かあったのかと聞けば、別に何もなかったらしい。
迫られたこともあったが持ち前の阿保さで奇跡的に回避していたとか。
じゃぁもう付き合ったことはないと言えばいいだろとローは言ったが、どうも見栄を張ったらしい。
「ほら、まったく恋人もいなかったと思われるのも嫌じゃん。付き合ったことあると聞かれて見栄を張りたくなる、うら若き乙女の心理を分かりたまえ」
なんとも自信満々に恥ずかしい心理を暴露していくユーリ。
その心理はまったく理解できないが、仮にも恋人を前に見栄を張る必要があるのだろうか。
そこのとろこを聞けばローは百戦錬磨のモテ男だから、恋人いない歴=年齢で経験値0と分かるのがなんか嫌だったらしい。
ちょっとまて、その理論だと付き合ったことのないローも経験値0だという事になる。
ローはそう反論するがユーリはよく分かってなかった。