第2章 中編 生贄の彼女と死の外科医
ユーリはワープを使い潜水艦の近くまで来ていた。
1年ぶりの再会に胸を躍らせたいところだが、あいにく2人の関係はそんな生易しいものではない。
ユーリに向けられる冷たい視線を想像するだけで今すぐこの場から逃げ出したかったが、もう後には引けなかった。
ユーリは早まる鼓動を落ち着けるように何度も深呼吸すると、ゆっくりと船に足を運んだ。
「ん?誰だおまえ?」
船に近づくと白い熊がユーリを見つけて、警戒心を露わにする。
「……すいません、船長に会わせてもらえないですか?」
ユーリの瞳にもう迷いはなかった。
そして凛とした声で告げるユーリの言葉に、ベポは首を傾げたのだった。