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夢を叶える方法【ヒロアカ】

第30章 春と嘯いて


Side 切島鋭児郎



初めて出会った時は、こいつ、生きていくのに苦労しそうだなって思った。



『ほ、本日は!お日柄も良く!!また、お足元の悪い中!!』

『どっちだよ!』


焦りながら、吃りながら。

そんな挨拶は、誰が見ても不器用なヤツだってわかるもので。

そのあとの訓練でのあいつも、到底出来ることは無さそうで。


可哀想に…なんてどこかで思った。



でもあいつは、自分に出来ることを必死で探して、それでちゃんと役に立ってみせた。


ため息をついていたあいつも、誰かのために、大好きな誰かのために。ただひたすらに、自分に出来ることを広げようとしていた。


そんなふうに、誰かのことを一心に思っていた彼女が、かっこよかった。


もがいて、足掻いて、必死に世界を広げようとする彼女は輝いて見えた。



【ただ後悔のねぇ生き方。それが俺にとっての漢気よ!】



まっすぐまっすぐ前を見る。

そんなヒーローに、見えていた。



でも、安藤は、たくさん後悔を抱えていたのだ。

たくさんたくさん。あの小さな胸が、はちきれるくらい。


相澤先生の話を聞いたあとは、息ができなくて、それから、



そんな彼女の、そばにいたかったと思った。



**


いても立ってもいられなかった俺は、話を聞いた次の日、外へ飛び出していた。


なにかしなければ。


そんな気持ちだけが昂って



自分にできるなにかをしたい。

そうじゃなくて、

自分は何がしたいか。



そうやって、どこかで聞いた言葉だけが、焦りを助長していく。



そうだ、アイツらなら。


“爆豪”ならば。

“緑谷”ならば。


なにかの手がかりになるかもしれない。


炎天直下の道を、ひたすらその曖昧な目標のために走り続けた。


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