第29章 〈番外編〉青い心は揺れ動く。
「結局恋バナは安藤のだけだったねぇ。」
「ステキなお話が聞けたわ。ありがとうひよこちゃん。」
三奈ちゃんはすこし満足いかないみたいな顔を枕に埋めた。
梅雨ちゃんはひよこちゃんにニッコリと微笑む。
ひよこちゃんは照れてまた顔を赤くした。
「はぁ、私にも好きな人、出来るのかなぁ。」
「恋したいよねぇ。」
そんな、若々しく瑞々しい言葉が皆の口から溢れ出る。
「婚期逃したりすると怖いよねぇ。」
「でもヒーローとかやってたら逃しそう……」
「「ひぃー!」」
そして、少し未来の話も。
「でも、恋に“落ちる”って言うでしょ?きっと恋はしようとしてもできないものなのよ。でも、“落ちる”ものなんだから止めることだってきっとできないわ。自分では選べないのよ。」
梅雨ちゃんの優しい言葉に、私は胸が高鳴った。
止めることはできない……かぁ。
やっぱり浮かぶのはあのモサモサ頭。
優しく、頑張り屋の彼にも、きっとそんな季節がやって来て。
そしてひよこちゃんにも、きっと春がやってくる。
私も…負けんようにしんと…。
私も頑張らんと!
そんな言葉が浮かんでは、私は頬を熱くした。
いつか訪れるその季節は、一体どれくらい先の話なのだろうか。
その“いつか”の時は、私は何をしているだろうか。
その“いつか”の時のお相手は、一体誰なんだろうか。
想いは大きく膨らんで、私の胸は、ぎゅうっとなって飛び出でた気がした。
「理想の相手ってさぁ、なんて言うかさぁ、可愛げもあって、カッコよくて強くってさぁ」
「…そんな相手いないよ。」
「…そういえば、ダークシャドウちゃんってかっこいいし可愛げもあるよね。」
「……あ゛ーー!!!!」
そんなこんなで、女子の夜はまだまだ続く。