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【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】

第4章 roasting





信長様がこの日、と決めれば天気も味方するのだろうか、なんて考えながら。
そう言えば今日は姿を見ていないな、と思い当たる。
沢山ある茶席の中で一際豪華な、南蛮から仕入れた向こうが透ける程繊細な織物を天幕として使った空間が、今日の主席。



秀吉さんが亭主、そして不肖ながら私が半東を務める茶席だった。




こんな豪華絢爛な、信長様の力を示すための様な場所で、自分が重要な役割を担うことになるなんて――



知らずの内に、肩に力が入る。


三成くんは違う茶席の亭主を務めるらしく、一緒には居てくれない。
秀吉さんも、客人を迎える準備で手一杯。
頼みの綱の家康と政宗はまさかの客人側。





そう言えば、光秀さんの姿も見えない――






そこで、千花、と自分を呼ぶ明るい声に振り返った。
青と白の小袖に肩衣と小袴を纏った、いつもとは少し装いの違う政宗。
思わず政宗、と軽く返しそうになるが、後ろから家康と、お客様の姿も見えて口を噤んだ。


家康が小走りで駆け寄ってきて、ちょん、と肘で小突かれた政宗はバツの悪そうな表情を浮かべている。




私はと言えば、そんな家康に思わず見とれてしまっていた。
浅葱色の直垂を着こなし、折烏帽子を着けた家康は、まるで肖像画で見た武士その物だった。
柔らかい癖のある前髪は、烏帽子を着けるためだろう、後ろに撫でつけられ。
そのせいでいつもより瞳が強調されて、強い眼差しがこちらを射抜く――





「…姫、姫!」






政宗の呼ぶ声に、はっ、と我に返った。
開いたままの口をきゅっと閉じ、笑みの形を作って向き直る。



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