【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第3章 aromatic
「…ん、甘いね」
「あ、甘い物苦手だったよね…!?」
家康の言葉に、いつも辛子なんかをもさもさと食事にかけていた事を今更ながら思い出し、青ざめる。
スイーツ作戦は失敗だったか…なんて、肩を落としかけたその時。
家康の指が伸びて、もう一つの茶巾絞りを摘んだ。
「千花ほら、あーん」
「え、なんで、私っ…!?」
「いいから、あーんして。…いい子だから」
まるで幼子をあやす様に、とびきり甘やかな声でそう言われて、従わずにはいられず。
家康に倣って目を閉じ、口を開ける。
そして間もなく、口の中いっぱいに広がる秋の香りと、さっぱりとした程よい甘味。
「んんんん…っ、美味しいっ!!」
「うん、丁度良かった。流石政宗さん」
「…ちょ、私はっ!?」
「はいはい、ご馳走様」
むぅ、とむくれる私を、揶揄するような表情で見つめていた家康。
しかし、私の顔のある一点で目を止めた。
なんだろう、とその視線の先に手をやろうとする、しかしその手を絡め取られ。
そして間髪入れずにはむり、と家康の口が、私の頬の辺りを食んだ。
「ーーーーーっっぅっ!!?」
「…菓子の一つもろくに食べられない訳?
滓がついてた」
齧り付かれた辺りを抑え、真っ赤になっているだろう私を見て、家康は薄く笑う。
「今の欠片が、一番甘かった」
「な、なに、いって、」
「あと、俺なんかより、童子みたいなアンタの方が余程可愛いんじゃない?」
「そ、それも聞いてたのっ…!!」