【イケメン戦国】お気に召すまま【修正完了しました】
第3章 aromatic
「…何これ」
箱を開け茶巾絞りを見た家康が開口一番、発した言葉にがん、とショックを受ける。
秀吉さんは大袈裟な程に、美しい!だなんて褒めてくれたのに…そんな私の表情から感じ取ったのか、家康はこほん、と小さく咳払いをした。
「見た目とかじゃなくてさ…
何これ、三つしかないけど」
「え?あぁ、皆に味見してもらったから…」
「…そう」
「で、でも皆美味しいって言ってくれたから!安心して!」
むすり、と少し口を曲げた家康。
先程までより更に不機嫌そうに見えて、あたふたと話しかける。
家康は茶巾絞りを見、そしてそんな私を見て…にやり、と口角を少し上げた。
意味もわからず不安になる私に、家康が告げる――
「食べさせてよ」
「…はい?」
「ほら、あーん」
あーん、と声に合わせて口を開け、目を閉じる家康。
その姿は先程までの寝顔のように可愛く、いつものつんけんとした態度が嘘のよう。
しかし、羞恥心が勝ってなかなか手を出せずにいる私を、薄目を開けた家康がじろり、と睨んだ。
「ふーん、政宗さんには出来て俺には出来ないんだ?」
「み、見てたの?」
「見えたの。
あれだけ仲良くはしゃいでたら、目立つに決まってる…
ほら、あーん」
そう言えば、食べる前から甘味だって分かっていたっけ…
一体いつから見られて居たんだろう、と気になるも。
憎まれ口とは相反する可愛い物言い、途端にまた早くなる鼓動に引っ張られるように。
言われるがままに一つ摘んで、家康の口の中に入れる。