第13章 説得と決意
「謝らなくていいのに、押しは入ってきたのはお母さんの方なんだよ?」
私は慌ててそう言うと、
「そうだとしても、挨拶にいかなかったことは事実だ。それについては俺が悪い。」
と頭をあげようとしなかった。
それを見て母はどこか不機嫌そうながらも、
「頭、あげなさい。」
といった。
そしてしばらく沈黙の時間が続くと母は
「お父さんからある程度の話は聞いてる。ただね、私はそれを聞きにきたわけじゃないの。」
と重そうな口を開いた。
「じゃあ何を聞きにきたの。」
私は苛立ちを抑えながらも母に聞いた。
「あなたたちがそんな関係を持つことによって回りに迷惑をかけることがわかってるか、聞きにきたの。向こうのご両親には何て言ってるの?」
母の顔は真剣そのもの。
ただ、批判しているようには見えなかった。
そしてそれに対して批判できずにいるいる自分がいた。
「…その事は…予測してたから…言わなかったの。」
私たちの関係が終わりを迎えてしまうと思ってしまい、泣きそうになりながらも私は必死にそこ感情を抑えようとした。
けれどそれを抑えることもできなければそれ以上口を開くこともできなかった。
すると裕は私の代わりに母の説得を試みた。
「確かにその事において相談は二人ですることはありませんでしたが、僕たちも各自でそれは承知の上で、考えていたつもりです。僕の両親には以前、話しました。」
無理に説得しようとすることもなければ、冷静に話す彼はとても心強いと思った。
「僕は、結婚を前提に由架さんも付き合っているつもりです。生半可な気持ちでこんな行動はしていません。もちろん、世間体のことがあるのも重々承知の上ですが、認めていただけることはできないでしょうか。」
そこからは彼の真剣さが伝わった。