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【イケメン戦国】戦国舞花録

第22章 『衝動』





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厨にて。

土間にある竈の上では、
鍋の中で煮立った湯がぐらぐらと。
既に投入済みの枝豆と共に、水泡が慌ただしく震えていた。


「そろそろいいかなぁ……」

「ああ、冷ます時は水に浸すんじゃねぇぞ。団扇で扇げ」


政宗による指示のもと。
百合はテキパキと茹で上がった枝豆をザルに移し、湯切りをして………
そばにある団扇を手に取り、湯気立つそれを素早く扇ぎ始める。


「…………なぁ、百合」

「んー?」

「あいつ……あん時の反応……きっと動物苦手なんだろ?
なのにどうしてわざと照月と一緒にさせてるんだ?」


台を挟んだ百合の向かい側に立ち。
器に入れたもち米をすりこぎ棒でひたすら突く作業をしていた政宗は、
先程の一件を未だ疑問に思いどういうことなのか訳を聞き出そうと尋ねてみる。

すると、一拍置いたあと……
百合はくすりと小さく笑った。


「動物が苦手?
ふふ、そう見えるよね」

「そりゃあ……あんなに嫌がってたしな」

「逆なんだなー、これが。
あの子、動物や子どもが大好きなの。
でもね、妙なとこで恥ずかしがる一面もあって………
家族である私の前ならまだしもーーー政宗の前で照月を可愛がる姿を見られたくなかったんだよ」

「なんだ、そりゃ………捻くれてんなぁ」

「あはは、かもね。
きっと今頃ーーー………」


頭に想像図を浮かべ……
目尻を下げる百合の表情は柔らかく、優しくーーー。
それにつられるように。
口角を上げた政宗は、粛々と作業を進めていた。



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