第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
「レイヴィス………レイヴィス………」
うわ言のような聞き取れないほどの声で、小さく俺の名前を呟いている。
「部長、頼むから泣くのだけは、やめて」
………言っても無駄だろうけど。とりあえず、希望。というか、願いを伝えてみる。
「レ、レイヴィス~~~~~~ッ!!!」
途端に、弾かれたように部長の目からは涙がボロボロとこぼれ落ち、ヨロヨロとこちらへと歩いてきた。
ドサッ、バサバサバサ―――ッ。
途中で手に持っていた鞄が落ち、中に入っていた教科書やノートがバラバラと辺りに散らばる。
それらに気を取られていたせいで、回避が一瞬、遅れた。
「ちょっ、部長、待………っ」
グワシッッ、と力強い両腕で抱きつかれてしまった。
「ウワァァァァァァン!!!」
この至近距離で、すごい音量の泣き声。頭の芯まで届く勢いだ。
耳が痛い………。
むりやり引き剥がすわけにもいかず、彼の背をポンポンと叩き、ゆっくりと拘束を解かせる。
身体が離れると、ペタリとその場に座り込んでしまった。そして、そのまま、ワアワアと幼い子どものように泣き続けている。
オケ部のメンバーにとっては、見慣れた光景のようだ。まだ残っていた部員達は、俺達の周りを大きく迂回して帰り支度を手早く済ませている。
関わり合わないようにと、こちらをできるだけ見ないように急いで帰って行くのだ。