第34章 私立リアリン学園!13時間目~レイヴィス~
「………ヴィス、レイヴィス?」
名前を呼ばれて、ハッと我に返る。
「あ、ゴメン、どこだっけ?」
慌てて教科書に視線を落とす。
………全然聞いてなかった。まったく頭に入ってない。
「もう時間だから終わりだよって………珍しいね、レイヴィスが時間を忘れるなんて。補習も上の空だったし。もしかして、何か悩み事でもある?」
ズイっと机の上に身を乗り出して、顔を覗き込んでくる。
「いや、別に」
………近い。その距離感にいたたまれなくて、思わず顔を逸らす。
「そっかぁ」
あからさまにガッカリした様子のマイン。
冷たくあしらい過ぎたかもしれない。
「ちょっと疲れてるのかも。せっかく教えてもらってるのに、悪い。明日はちゃんと………」
「疲れてるの?じゃあ、これ!」
マインは、鞄の中をゴソゴソと探り、カラフルな小さい缶を取り出した。蓋を開けて、キャンディーの包みを一つ差し出してきた。
「アメ?これから楽器弾くのに、口に入れておくわけにはいかないから」
「ううん、チョコレートだよ。だから、すぐ食べ終わるよ。中にね、アーモンドが入ってるの」
ニコニコしながら、でも有無を言わせないといった調子で、強引にチョコレートを手の中に押し込んできた。
触れる、指先―――。