第32章 私立リアリン学園!12時間目~アルバート~
「クロード、お待ちください」
低く鋭いジル教頭の声が響く。
職員室を出ていこうとしていたクロードが、肩をすくめ苦笑しながら振り向いた。
「なんの用だ?テスト問題なら昨日提出済みだが?」
「残念ながら、やり直しです。今回は設問形式にするようにと、あれほど通達したはずですが?」
「被服を設問式で、なんて馬鹿げてる。通常のように論文でいいじゃないか。なあ、マイン」
は?私?
「えっと、私に振られても困るんだけど」
いつのまにか左側にジル教頭、右側にクロードが立っていて………間に挟まないでほしい~~っ!
「論文では、貴方の主観で点数をつけることになるでしょう。それでは、曖昧になってしまうのでと、何度も申し上げたでしょう?」
「設問作り、点数配分、どれを取っても面倒だな」
「面倒ですって?貴方は教師ですよ?それが貴方の仕事ですし………」
「わかった、わかりましたよ、仰せの通りに致します」
これ以上は勘弁といったふうに、ジル教頭の言葉を遮る。降参だと呟きながら大げさに両手を上げている。
「お、マイン、これは、お前が作ったテストか?」
クロードが、私が持っているプリントに手を伸ばす。
「よくできているでしょう?」
私の代わりに、ジル教頭が満足気に目を細めて言う。