第29章 私立リアリン学園!11時間目~イケヴァン・アーサー~
「マイン先生、一つ約束してください」
視聴覚室に着いて、パソコンの電源をつけたところで、セバスチャンが私に向き直った。あまりにも真剣な瞳をしているので、身構えてしまう。
「何?」
「結果がどうであれ、もう探偵は、おしまいにすると」
………今度は、『ごっこ』って言わなかった。セバスチャンの目の輝きは、鋭さを増す。
「もし不正の証拠が出てきた場合、その後は、シドの仕事です。そのままデータをシドへ託すこと。何も出なければ、それはそれ。これ以上、黒崎を追求しない。よろしいですか」
「………」
頭の中で思案し続ける。自分で始めたことだから、できれば最後までやり遂げたいという思いが強くて………。
私の返事を待たずに、セバスチャンが続ける。
「黒崎が、今回の件に関与しているかどうかわかりませんが、それ以外のことで彼が不正を働いている可能性はじゅうぶんにあります。ですから、彼を探ること自体が危険を伴います。私は、マイン先生に危ない目に遭ってほしくないのです」
「………」
本気で心配してくれているのが、ヒシヒシと伝わってくる。
なので―――。
「わかった。約束する」
不本意だけど………ここまで言われてしまっては、頷くしかない。