第27章 私立リアリン学園!~シド~ 情熱編
「死ぬ間際ってのは、好きな女の顔が思い浮かぶって言うだろ」
「………っ」
何、言ってるの?
好きな女って………。
「お、大げさだよ。ロベール先生は、傷は深いけど命には別状ないって言ってたよ」
「ああ、今はもう、死ぬ気がしねえ」
ゆっくりと首だけこちらへ向き直り、右手が差し伸べられる。
「………何?」
「来いよ」
おずおずと近づくと、急に左手首を掴まれ、引き寄せられる。
危うくシドの上に乗り上げそうになって、慌てて反対の手をシドの頭の横につき、身体を支える。
「ちょっとっ!」
見下ろすと。
すぐ真下から、シドの熱い視線を感じる。
その瞳の奥は、獰猛なのに、どこか弱々しくユラユラと揺らめいている。
こちらに伸びてきたシドの左手が、髪に触れる。
「ちゃんと乾かせ」
生乾きの私の髪を指で梳いていく。
その仕草があまりにも優しくて、くすぐったい。
頭の後ろに手を添えられ、静かに引き寄せられて―――。
お互いの鼻先が擦れ合う。
焦点が合わないくらい近い。
そして―――重なる唇。