第41章 コンビニエントフォーミー4
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寧々が自分の寮に帰ると、轟が部屋の前で待っていて
駆け寄ればギュウと抱きしめられた。
『どうしたの?焦凍…』
のしかかる重みに首を傾げると、
「待ってた…」と低い声が肩で聞こえる。
焦凍は時々猫みたいだと思う。
寂しい、不安だと言いたげに体を擦り寄せてきて
なんだか…すごく可愛い
轟は額に額を押し当てて、キスもせずに寧々の顔をただ見つめつづけた
焦らすような距離感に心臓がドキドキする。
触れ合っているところから何かが熱を持って…湧き上がるみたい…
そう思った時、寧々の肩から火種が上がり
『え?!うそ…なんで?』
それを見た轟は寧々の腕を掴んで、寧々のことを凝視した
添える手のひらから熱を失っていく右側と、それに対して熱を帯びる左側
これは間違いなく自分の個性と同じもの
轟は寧々の手から寮部屋の鍵を奪い取り開けると
寧々を部屋の中に押し込んだ。
その乱暴な所作は、いつもの彼のものとは違い、全く理性的でない。
2人きりの部屋の中で、完全に冷静さを失った轟は寧々の肩をギリっと掴んだ
「なんで…触っただけで個性がコピー出来てんだ…」
『ーーー…それは…』
「触っただけで、コピーできんのは
物間の個性だろ…」
寧々の右側の頬には、少しづつ霜が降り始めている。
個性が制御できなくて、体が苦しい。
『焦凍……』
焦凍も勝己も、キスをする時はなるべく2回重ねてしてくれる。
個性がすぐ解除できるように、体に負担がかからないように。
だから、久しぶりに体に入れたこの個性はやっぱり
訓練されてない体には不釣り合いで
「物間と、キスしたんだな……」
唯一部屋に響く轟の声に、ゾクリと背筋が凍った。
そう思うくらい、冷たい怒りを孕んだ視線
(怖い…)
彼のことをそう思ったのは、いつぶりだろうか