第39章 コンビニエントフォーミー2
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昼過ぎになって、やっと学校に来た爆豪
「来ても来なくてもいい」と確かに相澤は言っていたが
途中から登校という不良極まりない行動にクラスメイトは首を傾げた
ーーー爆豪らしくない
と。
教室に入ってきた爆豪は、ズカズカとひとつだけ空いている席の
一つ後ろの席の前で立ち止まる。
これから昼ごはんを食べようと食堂に行くため立ち上がった緑谷の目の前だ。
「な、何…かっちゃん」
絆創膏と湿布を貼った顔には、若干の恐怖が浮かぶ
昨日の攻撃程度なら、授業や仮免試験後に爆豪とやり合ったことや
ヴィランとの実戦経験のある緑谷からすれば、大したことではないが
学ランの爆豪勝己、というヴィジュアルが
緑谷出久にとってトラウマに近いこともあって
どうしても身構えてしまう。
「分かったぞ、あの女の【個性】」
その言葉に、轟は視線を持ち上げた
不穏な空気を感じ取った上鳴と切島が二人に近づき「どうしたんだ?」と声をかける
「あの女って…口付さんの事?」
「ほかに誰が居んだよ」
爆豪は、ハンっと笑うと
顎をクイッと持ち上げて、得意のドヤ顔を決めた。
「あの女、【魅了】とか【誘惑】系の個性だろ
【催眠】って線もあるけどな」
「うん、違うね」
「あ゛!?」
地蔵の顔になる緑谷に対して、隣で聞いていた上鳴は腹を抱えて笑い始めた。
「に笑ってんだてめぇ!!!!」
「ブハハ!!!、やっ…わり…
だってお前、それって…ハー腹痛てぇ」
爆笑する上鳴に対して、下唇を噛み締め涙を浮かべる切島。
「なんか…お前が不憫で…俺、クゥッ…」
爆豪は、「!!!クソ!!死ね!」と叫んで机を焦がした後
教室を出ていった。
そのやり取りを見ていた轟は、震える手を抑えることしか出来ず
その横で、八百万は心配そうにその姿を盗み見た。