《おそ松さん》なごみ探偵・謎の仮面と洋館の幽霊(R18)
第22章 おそ松END〜なごみ探偵とわたし〜(※)
誰かいる……?
耳を澄ませてみる。
カラカラと小さな車輪の回る音。
これって……。
頭にパッと思いつくのは、病院でよく見かける医療用器具を置くステンレス製のカート。
あの音に似ている。
でも、誰がそんなものを?
何のために?
音は少しずつ大きくなっている。
こっちに向かってきているんだ……。
私は慌てて診察室に入り、そっとドアを閉めた。
すぐに目に入ったベッドの影に隠れる。
ちょうどベッドの頭側と壁との間に人ひとりが入れるぐらいの隙間が空いていた。
ベッド周りにかかっていたボロボロのカーテンを少しだけひいて、自分の場所を隠す。
カーテンを全部引いてしまえば却って怪しいが、これぐらいなら自然なはずだ。
息を潜めて身を縮めていると、キャスターの音はこちらに向かって近付いてくる。
診察室に入ってこなければいいけど……。
音はどんどんとこちらに近づき、やがて、診察室の前でキイッと止まった。
やばい……。
「全くチョロいぜ。あっという間に終わったな」
太い男の声。
「ああ、楽だった」
別の男が返す。
こちらは声が細く高い。
「さっさと離れましょうよ。警察が検問でも始めたら厄介だし」
今度は女の声。
「そうだな。行くか」