第17章 近過ぎたキミ②(及川徹)⚠兄✕妹R18⚠
『からかわないで下さい!
それに近いです!
配達お気をつけて!』
顔を背けて門扉を玄関に向かって
抜けようとしたら
「ちょい待ち!」
嶋田さんの腕が
私の腕をガシッと掴む
『待ちません!離し…』
「からかってないよ?
俺は嘘は付かない
元気な顔見れて良かった
また、ね?
…嶋田マートをご贔屓に!
ついでに俺もよろしく!」
真剣な顔の後
ニヤリと笑う嶋田さん
『お店には行きますけど
嶋田さんをヨロシクはしませんから!
失礼します!』
捕まんでる手を振り払い
家に入ると
鳴る携帯
また嶋田さん?!
さっき後悔したのに
『まだなにか御用ですか?!』
勢いで電話に出てしまう
〈なに?誰と間違ってるのかな?〉
嶋田さんじゃない!
『お兄ちゃん!?!』
自分が無意識に徹を
"お兄ちゃん"って呼んだ事なんか
気付きもしなかった
だって徹を"徹"と呼ぶより
"お兄ちゃん"と呼ぶ方が
長い人生を歩んで来たんだから。
つい出る事だってあるじゃん?
〈なに?〉
不機嫌な声が低く耳に響いて
『ごめん!あのさっき…』
〈誰かと逢ってたの?〉
電話越しでも伝わる
〈姫凪…応えなよ〉
絶対零度。