第74章 キミのトナリ オレのトナリ（及川徹）

アワアワする俺を見て

『…飾り付けの続きしようね
クリスマス終わっちゃう』

スンッと表情を消して
飾り付けがゴチャゴチャ入った
大きな箱に手を掛ける姫凪

完全に誤解してる…よね？

「姫凪、あのさ…」

そろそろ近付くと

『…後で尋問するから。
とりあえず今はパーティーの準備！』

涙が少し浮かんだ目で睨まれて
プイッと背けられる顔

やばい。
飾り付けなんかに
身が入るわけがない

話をややこしくした
張本人達は

「姫凪姉ー！
これどこに付けんの？」

「おい、これ絡まってんぞ？
俺がやると引き千切りそうだから
姫凪やってくれ」

呑気に飾り付けを始め

『猛、それはこっち！
岩ちゃんてば相変わらず
大雑把なんだからー！
うわ、去年片付けたの誰…？
凄い絡まり方…』

俺を置き去りに
クリスマスムードだけが
整っていく

ここでゴネても
連れ去っても
きっと良い方向には転ばない