第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
「昨日遅くまでゲーム…
冬休みの宿題してて眠いんだよ
後で行くから」
ゲームって言ったのを
聞き逃したわけじゃないけど
きっとテコでも動かない事を察して
「なるべく早く来なよね
俺と姫凪だけじゃ
大変だからさ」
一応早くと念を押して
部屋を出る
「なんだよ徹~
いつもは邪魔すんなって
顔で見てくるくせにさ~…」
ドア越しに聞こえる猛の声
確かにいつもなら
いつも通りなら
そうなんだけどさ…
二人きりだと姫凪が
身構えるし
無駄にギクシャクするし…
嬉しい気持ちより
悲しい気持ちが勝って
虚しくなるんだよ
「皆のパーティーなんだから
皆で用意するの!オーケー!?」
「…はーい…じゃあなるべく
早く行く…予定…は未定…」
期待出来ない応えに
足取り重く向かった
姫凪の家
あれからも毎朝来てるのに
なんだか凄くドキドキする
『徹??』
「うっわ!
なんで後ろに居るんだよ!」