第74章 キミのトナリ オレのトナリ(及川徹)
凄く良い奴かも知れない
俺なんかより
姫凪を大切にしてて
幸せにする奴かも知れないのに
『…言いたくない』
認められる気がしない
"おめでとう、幸せに"って
笑える気がしないんだ
ねぇ、この気持ちは
なんだと思う?
「俺に言えない様なヤツ?」
『そんなんじゃ…』
潤む目に
言葉を飲み込む唇に
悲しささえ込み上げて来る
その目が唇が
他の誰かを見つめて
呼び掛けるてると思うだけで
胸が痛いよ
彼女が居るのに
ヘンだよね?
サクラが他の誰かと
話してるのを見たって
こんな気持ちにならなかったのに
姫凪が他の誰かとって思うだけで
居た堪れない
「姫凪…」
もしかしたら、俺…
開き掛けた唇
こぼれ落ちそうな言葉を
「徹ー?」
止めたサクラの声
「あ、れ?どうしたの?
Lineしたよね?」
あ、やばい。
口調がキツい。
これじゃまるで
サクラを疎んじてるみたいに
聞こえちゃうじゃないか。