第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
冷めた声とは裏腹な
真っ赤でニヤけた顔が
瞳を占拠して
「姫凪さん
可愛すぎるのも程々に、ね?」
今度は優しく唇が塞がれる
甘えた声に色っぽい目つき
ジャレてくる
癖っけの黒い髪の毛
『そっくりそのまま
京治に返す…
ドキドキさせ過ぎないで!
明日の事なんか
どうでも良くなるくらい
メチャクチャにされたくなるから!』
ジャレる身体にしがみついて
記憶にしみついた
京治の香りを
思いっ切り吸い込み
『…大した事は
無かったんだけどさ
仕事ばっかりだったし
でも…凄く寂しくて
力入らなくて…
京治がどうしてるのか
気になってたのに
あの子の事を
思い出しては拗ねて
連絡も出来なくて…
ゴメンネ?
もっと、早く
素直になれば…良かった…ね』
心に溜まってた言葉達を
吐き出して行く
京治は私の身体を抱き締めながら
時々小さく相槌を打って
"姫凪さんは悪くない"って
頭を撫でて
"悪いのは俺だ"と
少し悲しい声で続ける