第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
『京治、食べながらで良いから
聞いてくれる?』
いつもなら向かい合って食べる
食事を今は
身を寄せて食べている
「どうしたんですか?
改まって」
オニギリを口へ運ぶ手を止めて
私に向き直る京治
『大した事…じゃないんだけどね?
あの日から京治に
あってなかったじゃない?
なんて言うか…お互いが
なんにも知らない時間って
嫌だなって思って…』
離れて少し開いた隙間を
埋めるように
またひっつくと
「…この時短の食事タイムさえ
取らせない気ですか?」
少し冷めた声が頭の上に
降ってきた
シマッタ!
もしかして呆れられた
チャント食べないから
動けないほど寝込んでたのに
まだ食べないと言うつもりか!みたいな?
『えっと…食べるよ?
食べるけど…
喋りながらユックリ…ンん?!』
慌ててとり繕おうとした
唇が京治のソレで塞がれる
「さっきも言ったでしょう?
栄養ある食事を摂る時間すら
惜しくなってるのに
まだ煽って来るとか…
俺のタンパク質だけで
腹を満たせ、的な気分になるでしょうが…」