第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
「仰せのままに」
その笑顔に俺も返し
大きく膨らんだ
買い物袋を二人で持って
車に走る
後部座席に乱雑に詰め込んだ荷物
運転席と助手席に乗り込んで
『キスして』
「キスしたい」
同時に重ねた声
次の瞬間重なった唇
このまま此処でと
過る邪を必死に押し殺して
車を発進させた
後少しの我慢だと
いきり立つバカ息子を宥めて
車を走らせ
家路を急ぐ
買い忘れたゴムの事を
少し気にしながらも
止める時間すら惜しくて
そのまま家に戻った
ベットにもつれ込みたい足を
リビングで止め
テキトーな夕食を二人
向かい合わず並んで食べた
姫凪さんの話を聞きながら