第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
相変わらず荒い運転だな
姫凪さんが乗ってないと
すぐにスピード出すんだから…
「再現するなら
安全運転も再現して欲しいところですね
で?どこへ?」
嫌味を挟みつつ
車に乗った後では
抵抗は無駄だと話を振ると
「再現だよ
俺は最初一人だったんだから」
木兎さんの冷静な声が返ってくる
「え?姫凪さんは?
一緒だったんでしょう?」
「たまたま遭ったんだよ
黒尾くんに車借りたから
礼に黒尾カップルに
ケーキでも買って返しに行こうと
思ってたら
チャラ男に絡まれてたから
助けたんだよ」
「そう…だったんですか」
「当たり前だろ
姫凪が俺と二人で
出掛けるかよ
…って!言わせんな!」
ポカリと俺の頭を小突き
パーキングの前で車を停める
「…ここに車置いて
歩いてる時に
姫凪を助けたんだ
本当はスグに
送るつもりだったんだけどさ…」
話を続ける木兎さんが
大きな溜息を吐き出す