第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
「痛い…です」
「痛く掴んでんだ
来いよ、話があんだから
どうせサボる気だったんだろうが
ほら乗れよ、黒尾くんの車だけど」
引き摺られる様に
連れて来られた駐車場
停められた車の鍵の開く音と
「ドライブする気になれません
話ならここで…」
「ここでボコられたいって事か?」
低い声が響く
「…そういう話ですか?」
学生時代だったら
この鋭い目に
黒いオーラに
きっと怯んでたけど
「他にどんな話がある?」
「じゃあわざわざ場所を
変える必要性を感じません
ここで…どうぞ?」
俺ももうあの時の俺じゃない
詰まった首元を開き
木兎さんを睨み付ける
こんな事で解決するとは
思わないけど
やると言うなら
断る理由もない
グッと握った拳の力を
指先だけ抜いた途端
「…赤葦…そんな睨むなよー!
怖いじゃねぇか!!
冗談通じねぇな!!」
響いた声
「…冗談??」
「俺がお前と喧嘩すると思うか!
姫凪が泣くじゃねぇか!!」