第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
「…姫凪さん…
昨日…誰と居たんですか?」
無意識に姫凪さんに落ちたセリフ
姫凪さんの顎を跳ね上げ
大好きだった瞳を覗き込むけど
『だから…昨日は…』
「…俺がLINEを送った
あの時、どこに誰と居たんですか?」
いつもの俺はそこに居なくて
今にも涙を落としそうな
情けない顔
そして俺の瞳に映る
姫凪さんは
『…あの、ね、京治…
昨日…私は』
見つめられた目に
俺の言葉に
動揺してる顔
正直に言われても
言われなくても
傷付くのが予想出来る
…なら
「…ヤッパリ忘れて下さい…
寝る所だったんですよね?
この部屋で…。
スイマセン、何か飲みますか?」
言わなかった事にた方が
良いと思ったんだけど
『あ、京治…それは…』
「…そういう事、ですか」
現実は俺に甘くないみたいだ。
ベットから降りてフラ付いた足が
倒した姫凪さんのカバンから
溢れ落ちたのは
お互いの部屋の鍵じゃなかった