第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
あ、今の言い方は
かなり嫌味っぽいな
嫌いになられるかな
どうせ嫌われるなら…
「姫凪、来て」
トコトン…嫌われた方が
『待って、京治…』
「待てたら言わない
とりあえず…抱くから」
楽なのかも知れないな。
鍵が開いた部屋になだれ込み
強く手を握ると
反射なのか
俺の手を振り払おうとする姫凪さん
冷静さなんか
残ってない俺は
更に強く引き寄せ
乱れてないベットルームに
姫凪さんを引き込んだ
『待ってってば
京治…ヘンだよ』
ヘン?確かにそうですね
でも、ヘンなのは
「俺に話したい事は?」
『話したい…事?』
「ない?」
「聞こえないのか?
俺に黙ってる事はないかって
聞いてるんだよ…姫凪」
俺だけではないでしょう?
真っ直ぐ見下ろす視線に
姫凪さんは震えて
口をパクパクさせて
まるで陸にあげられた
人魚のようだと
苦しそうに胸を上下させて
必死に息をする
姫凪さんを見て
ふと思う。