第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
いつもと変わらなく見えるのに
貴女は俺に秘密を抱えていて…
『京治?
どうしたの?
お腹空いてるんじゃないの?』
でも、平然と俺の隣に並び
俺の瞳を釘付けにして来る
クソ…!
切り替えろよ
でないと、あっさりキレて
『気分悪い?
今日は帰る?』
「いえ。あんまり
腹減ってないんで
このまま帰りましょう
それにまだ…いえ、何でもないです」
貴女を壊してしまいそうだ
チャント話さないと
チャント聞かないと
妄想で暴走するなんて
ガキじゃあるまいし。
「荷物、持ちますよ」
大きく深呼吸して
いつも通り姫凪さんの
鞄を自分の手に移す
いつも通り…なら
ここで空いた手は
姫凪さんと繋がるのに
「…行きましょうか」
今日はその手を握る事が出来ない
触れるのが嫌だなんて事は
まったくない
むしろ触れて
温もりに安心したい
けど、触れたら
抑え込んでる気持ちが
暴走しそうで
それが怖くて
そのまま前を歩いた