第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
必死に脳内を整理しようするけど
上手く行かない
あの頃の方が良かったと
今が虚しいと
心が掻きむしられる
「おい、あかーし!
ウソやん!ジョークやから
そんな顔すな!
ほら食え!治から死守した
北さんの婆ちゃんのオニギリや!
特別やからな!ほら!!」
侑に沈みこむ意識を
強引に引き戻され
どこから出したのか
ラップに包まれた
オニギリが押し付けられる
「いや、飯は…」
食って来てはないけど
入る程の余裕がない
「これは別腹やねんぞ!
どんだけ満腹でも入るねん
…どんだけ体調悪ぅても
美味いから
食うとけや…な?」
押し返す俺の手から
受け取るのを拒否して
"食うとけ"を繰り返す
「…じゃあ、後で…」
「今や!こんなん男やったら
三口やろ!腹に変なモン溜め込んでるから
そんな辛気臭い顔してんねやろ」
「…そう、だな
イタダキマス」
変なモン溜め込んでる…か
確かに要らないモノばかりで
腹が満ちてるから
バカな事ばかり考えるんだよな…