第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
「赤葦どないしてん?」
「何が?」
「眉間のシワえぐい
目ぇ死んどる
話聞いてへん」
今世紀最大に苦しい別れを味わう
その日の朝
昨日の夜のモヤモヤを引きずったまま
徹夜で行った大学
俺を心配する侑が
「コーヒー買うて来た
遠慮要らんから飲み?」
冷えた缶コーヒーを
俺に押し付ける
「…あぁ、ありがとう」
受け取るものの
また意識はあの夜の
姫凪さんのメッセージに
持っていかれる
ウソまでついて
帰らなかった部屋
連絡が取れない木兎さん
偶然にしては
俺に優しくなさ過ぎる
「おーい。マジでヤバない?
姫凪ちゃんと
喧嘩したんか?
俺が昨日レポート手伝わせてたん
変な誤解されたとか!?
俺弁解しに行ったろか?
今日も仕事やろ?
昼休み行ってみるか!」
「気にするなよ
侑のせいじゃないから」
侑の声に薄く笑って返しながら
最後の言葉を拾い上げる俺
そうか
顔見に行く手もある、か。
朝のセットどころか
軽いシャワーで終わらせた
昨日の夜の風呂を思い出す