第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
キャラクターに話し掛けるなんて
痛いよ、って
心で必死に明るくツッコんで
暗い道を京治の部屋に向かって歩いた
早く行くだけなら
タクシーを使うのが一番なんだけど
近くの公園やコンビニ
駅までの道のどこかで
京治が待っててくれてる気がして
一つ一つ確認しながら歩いた
京治の部屋に
サッサと向かって
待ちぼうけの方が良かった
そしたら
埋まっている京治の隣を
見たりしなかったのに
見た事ある
派手な感じの女性
あの子…学食の…
勘違いだと思ったのが
勘違いだったの?
ヤッパリ京治は…
『バカ…!
もう疑わないって決めたじゃない!』
パンッと頬を叩き
震える足を前に出す
そして
『京治!』
何かを話す二人を遮る
私の声に肩を震わす京治
振り返ると思ってたのに
「…じゃあ…俺、行くから」
京治は隣の女の子に声を掛け
「こんな所まで来て…
もう、暗いですよ
送って行けないので
気を付けて帰って下さいね」
背中を向けたまま
私に話す