第73章 ♑瞳を閉じても②（赤葦京治）完結

でも…

「サッパリしたーー！！
姫凪も入れば良いのに
お揃いの匂いとか
超絶萌……え？！
姫凪！？どうした！！？」

『うるさいな！
なんでもないってば！！』

「なんでもなくねぇじゃん」

なんで今
そんな偶然が重なるのよ。
考えなくて良い事で
また頭がイッパイになっちゃうじゃん

「怒鳴って動いて汗かいて
モヤモヤ吹き飛ばしたと思ってたのに
また凹んでんじゃん」

『光太郎には関係ない……』

だめ、泣きたくない
泣いたらきっと
光太郎は…

「お前の全部が
俺に関係ある
泣くな、つったのに。
止まんなくなる」

私を抱き締めて
離してくれない
そして高い体温と
低い声

「姫凪…」

そして
甘い声に
私もきっと

『光太郎…離して…』

「泣きやんだら離してやる」

もう落ちる涙を止められない

『無理…
不安ばかり…育っちゃう
信じてるのに
信じてたのに
あんなメモも
離れて寝た事も
小さい事なのに
苦しい…苦しいよ、光太郎…っ』