第73章 ♑瞳を閉じても②(赤葦京治)完結
重い足を引きずり
帰ろうとする私を
「姫凪ちゃん!
待って!この後飯でもどう!?」
アキラさんが追いかけてきた
『結構です。
チケット貰っただけで
十分ですから』
いくらモヤモヤしてても
帰るのが気が重くても
アキラさんとご飯に
行く選択肢はない。
丁寧に断り向けた背中に
「十分だったら
そんな顔してないだろ?
帰りたくないって顔してる
姫凪ちゃんを
放っとくなんて出来ないよ、俺」
まだぶつかる声
『アキラさんには関係ないでしょ
もう眠いから帰るんです』
「関係ないとか冷たい事
言わないでよ
俺…君のことが…」
熱い声に冷ややかに返しても
まだぶつかる熱
掴まれた手が引かれ
ふらつく身体が
「嫌がってんだろ
コイツがシツコイ男
大嫌いだって事も
知らねぇくせに
"好き"とか言わねぇでくれる?」
目の前に現れた
大きな胸板に引き戻された
この声、この匂い…を
「また夜遊びしてんのかよ
危なっかしーなー!」
私は良く知ってる