第72章 ♑瞳を閉じても(赤葦京治)
言わないで、なにも
聞きたくない…
追い込まれてしまいそうな心を
掬い上げたのは
「誰のせい?
そんなのヤッちまった奴だろ
実行犯以上の悪が居るかよ」
真っ直ぐな光の様な声
何でここに…
「ん?キミ誰?」
「俺は俺!!」
木兎さんが居るんだ?
後ろからした声に振り返る間もなく
「アキラくーん
お待たせ!姫凪ちゃんに
渡すのポカリで良いかな…って
あれ?木兎…だっけ?
俺、青城の花巻!
ほら、前に及川がこっち来た時
黒尾とかと飲んだじゃん!」
「…あー!マキマキ!」
「ツムツムみたいに言うなよ…
え?姫凪ちゃんの彼氏って木兎?
それなら寝てる姫凪ちゃんから
必死こいて番号聞き出さなくても
良かったじゃんよ~
苦労したんだぜ…マジで…」
俺の頭の上で会話が進行していく
呆然と見てる場合じゃないんだ
彼氏は俺ですって訂正しなくちゃ
姫凪さんを早く隣に戻さなくちゃ
姫凪さんを支えてる
この人に何か一言でも返しておかなくちゃ__。