第72章 ♑瞳を閉じても（赤葦京治）

この状況で京治が
怒ってもない
拗ねてもないってのは…
だってこの前、クロ達と盛り上がって
飲み潰れちゃって
研磨と虎くんに送って貰った時は
それはそれは激しく…って
今、それは置いといて…。

「…嫌ですけど…」

ほら、やっぱり引っ掛る
歯切れの悪い京治の声は
そこで止まり

「姫凪を朝まで酷使させたのは
俺なんで…」

何故か自分を責める様な言葉が
ポツリと続く

『朝まで…って
確かにそうなんだけど
合意だし京治のせいってわけじゃ
ないでしょ？
マッキーに何か言われたの？』

聞きながらも頭の中では
違うだろうな、と思ってる
年上を立てる事を忘れないのが
京治だけど
私に何かあったときまで
そうだとは思えないもん

ジッと京治を見つめると
言い難そうに唇を触りながら

「…もう一人…来てました。
花巻さんと…水上さんって方が」

まさかの名前を口に出した
水上…？

『え？アキラさんが？』

「はい…そのアキラさん、が」